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ゲームの「基礎ルールの穴」とその調整方法について

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2019に寄稿するために書かれた
デザインについての簡単なコラムになります。

どうも。Power9Gamesのナインと申します。

過去作では「Dragon's Stone Revised」や
ひつじとどろぼう」(ペガサスシュピール様から海外で「Sheep & Thief」として出版されました)があります。

中量級以上はドラフトゲームばかり出しているため、ドラフト特化デザイナーと思われがちなので(笑)
今回はちょっとドラフトから離れて、制作関連のコラムみたいなものを書いてみたいと思います。

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ゲームの「基礎ルールの穴」とその調整方法について
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■ゲームの「基礎ルール」の穴とは?

ゲーム作成のスタートはいろいろなパターンがありますが

・自分が好きなゲームのアレンジ版を思いついた
・2つのゲームのこことここを繋げたら面白くなる気がした
・たまたま、面白いネタをおもいついた

など、唐突に「ゲーム」が出来てしまうこともあります。
良いことです(笑)が、問題は
出来てしまった「ゲーム」をどう評価するべきなのか。

これは結構難しい問題で、自分が世に出していないゲーム案の中でも

・他の人にすごく褒められてるゲーム

・他の人はニガめな顔をするけど自分ではそんなに悪くないと思ってるゲーム

があります(笑)

同人ゲーム制作なので、
ほかの人のリアクションなんか気にせずに作ってしまえ!
というノリも良いのですが、ゲームを出した後なってから後悔するのは(制作コスト的にも)
もったいないので、制作中に自己チェックできる方が良いでしょう。

いわゆる、テストプレイと検証です。

ただ、制作者自身というのは「このゲームが面白い」と思ってゲームを作り上げているので
ゲームの悪い点を気づけなかったり、過少評価しがちです。

そんなわけで、ありがちな「バランスミス」や「考慮抜け」に当たる項目を列挙してみたいと思います。


■注意すべき、ルールの穴の列挙

・マニュアルやカードの表記がわかりずらい
 ルールには正しく記載していても誤解を生む可能性があるデザインだと、
 直観的に誤ったプレイをされてしまいがちです

・特定のカード(能力or役職or機能)を使った人が必ず勝つ

・特定の役職を使った人が勝つことはありえない

・特定の戦法を使った人が必ず勝つ

・得点で先行した人が必ず勝つ

・先手番(もしくは特定手番)の人が必ず勝つ、もしくは特定手番の人に勝機がない

・特定の人数でのプレイ時に、公平でない状態になる
 陣営戦があるゲームで奇数プレイを許可している場合にありがちです。

・最後に運の要素強めに影響して勝者が決まる
 最後に大きな勝利点が入る要素がある場合、その中で最高の建築物を建てた人が勝つ。などはありがちです

・誰かがちょっと特殊なプレイの仕方をするだけで、ゲーム全員(全体)の体験が壊れる
 「モダンアートで相場観が違う人が1人いると場が荒れる」問題などもありますが、
 ごきぶりポーカーをカードを見ないでプレイする人と同卓しても体験は壊れてしまいます。
 ルールに「見る」ことを明記するなど、対策を考える価値はあります

・ルールの意味がわからない
 過度に複雑なルールになっていて理解がしずらいケース、能力語が世界観に寄りすぎてわからないケースがあります
 特に能力語は、1つ2つくらい入れるのはなんとかなりますが、多数入れた場合は混乱の種になります

・作戦を考えてプレイできない
 各手番で、自分で「考えて」「決断する」だけの自由度があること。
 これを軽視するとドロー運などの「手なりで進めるだけ」と感じてしまって、面白く感じにくくなります。
 ※ライトなゲームにしたり、フレーバーでノリを求めたり、等で対策はできます

・過度な考えすぎを生み出す状況が発生しやすい
 将棋のようなランダム性が低いゲームになると、手番の先読みなどで長考が発生しやすくなります。
 考える価値があるのは良いのですが、深い思考を連続で強いると、プレイヤーの疲労度は格段にあがりやすくなります

(他にもいろいろあると思いますが、思いついたものを列挙した。という程度で)

■「注意すべき点」を最終評価するのは誰か?

注意すべき点を読んでも、ピンとこなかったり
自分のゲームは関係ないな。的に感じる制作者も結構いると思うのですが、
さきほど書いた通り、制作者自身はこの「注意すべき点」を軽視しがちです。

自分のゲームはちょっと初手番の人が強いかもしれないけど、そういうゲームだから。

といった風に、制作者自身は意外と納得というか、
そういうものだと理解したまま進行するパターンは多いと思いますが、
この「注意すべき点」を評価するのは、完成したゲームを遊ぶプレイヤーです。

しかも、そのプレイヤーが遊ぶときに制作者自身はアドバイスもできないし、何も関与できませんし
1日に同じゲームで何度も遊んでくれることはめったにありません。

プレイヤーがあなたのゲームを「競技的なゲームだろう」という先入観で遊んで「初手番が強い」という印象を受けると、
「これは初手番が強いゲームなので、手番決めでゲームの8割が決まります」
というような評価につながってきます。

なので、「注意すべき点」とは制作者であるあなたが注意するべきというより
遊んでくれるプレイヤーにどう思われるのかを、注意すべき点です。

こればかりは、熟練のゲームデザイナーでも見落としたり、軽視したり、チェックが抜ける事は多々あります。
なので他の人との確認「テストプレイ」をして検証しておく必要がでてきます。


■確認「テストプレイ」とは?

通常の制作中のゲームの「テストプレイ」では、
・ゲームのここの部分が気になる
・こういう部分をこう変えたらどうか

といった、ゲームルールの中身についての意見が出ることが多いと思うのですが、
自分の経験上、ゲームの内容への意見に集中しすぎた結果
注意すべき点の項目をスルーしてテストプレイが行われて、
最後まで気づかれないままになってしまう事も結構あります。

それらの意見を受け取るのと同時に、注意すべき点であがった項目についても
直接聞いてみて、どう感じたか感想をまとめておくのをオススメします。

これは気になる項目だけでも良いので、初期のテストプレイだけではなく
テストプレイをやるたび常に確認する。ぐらいの方がよいでしょう。

ではここで見つかった問題点はどうすればよいのでしょうか。


■分かった問題点をどう調整するか

問題点の内容によっては、仕組み的に解決できるものも多いと思いますが、
解決の仕方はゲームによってどれが望ましいのか、変わってきます。

例えば「先手番の人が勝ちやすい」が問題のときの解決方法は

・先手以降の手番の人に少しずつ初期得点を配布する
・先手番だけ初期資源がちょっと少ない
・先手番だけ、選択できない行動選択肢がある
・次のラウンドは、先手番は必ず最終手番になる

などが考えられます。(もっとほかにもあるでしょうけれど)

ただ、どれを選んでもゲームの初期セットアップに1工程増えたり、
ゲーム開始時のタイミングだけの特別処理のルールが追加されたりします。

こういう形で A の問題を A解決ルール でふさいでいくのは
普通のアプローチに見えますが、この手法でゲーム制作を進めていくと
いつのまにか細かいルールが増えてしまい、あそびにくいゲームになりがちです。

なので、例えばゲームによっては

「先手番の人が勝ちやすい」が問題はあるが、
・ゲームのプレイ時間を短くして、あまり気にならないようにする

といった、ルールを追加して修正するのではなく、構造を変えて目立たなくするアイデアも重要です。

または注意すべき点ではあるものの、客観的に見てもそれほど考慮するほどの問題ではなく、
むしろ調整することで過度にルールを増やしてしまい、本末転倒になるケースもあり得ます。

そのため、この調整のタイミングでは
・原型の面白さを損なわない
・問題点を修正できるが、ルールが増えたり煩雑になったりしない
・可能なら「ルールを引き算して」問題点を修正できないか検討する
ことに留意しながら、調整を考えていく必要があります。

あとは、この繰り返しです。

■ループ&ループ

ここからは、テストプレイで出た「ゲームのルール本体」「プレイ体験」への感想を元に
ルールの調整 ⇒ 調整後の方が面白くなっているか ⇒ 調整後の基礎ルールに問題はないか
のループの時間です。

慣れてくると1人で4人プレイをするような、いわゆる1人回しでのプレイでも
基礎ルールの穴に気づきやすくなったり、ルール改変の勘どころがつかめるようになりますが
ゲームを最初に作った時などでは、遊んで、感想を聞く。以外の方法は無いと思います。

テストプレイでゲーム内容(体験)が良くなった!やった!!
と思っていたら、基礎ルールに穴ができていた。
もしくは基礎ルールにちょっと穴があると分かってはいるけど、
体験が良くなったからこれでよいだろう!

というのは、とてもありがちな所です。
ですが、ゲームをリリース後に
「そこをそんなに指摘されるとは思わなかった…」
という悲しみとなって跳ね返ってきてしまいます。

ゲーム本体のルールについては、
制作者のエゴの塊でも全然かまわないし、むしろそうあって欲しいのですが、
基礎ルールの穴はみなさまくれぐれもチェック抜けの無いように…

(自戒も込めて)
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『Dragon's Stone Revised』(ドラゴンズストーンリバイズド)

★このページは『Dragon's Stone Revised』(ドラゴンズストーンリバイズド)総合ページです。情報は随時更新されます。

お久しぶりです。Power9Gams ナインです。

2018/11/24 に開催される「ゲームマーケット2018秋」に 『Dragon's Stone Revised』 を頒布します。
DSRV箱絵

『Dragon's Stone Revised』(ドラゴンズストーンリバイズド)

プレイ人数 2-5人(2人用バリアント入り)
プレイ時間 30-45分程度
ゲームマーケット頒布価格:3000円
ゲームデザイン:坂下裕一

※現在、ゲームマーケット2018秋、土曜日の取り置き予約を受け付けています。
 こちらからどうぞ!!

DSRV内容物

■物語■
深い森と険しい山に囲まれた平和な王国。9代目の王は病に伏せ、彼の子供達にこう告げました
「呪われた王冠の呪いを解き、財宝を持ち帰った者を次の王とする!」
あなたは王子/王女となり、次の王の座を目指して、他の王位継承者と財宝(ドラゴンズ ストーン)の獲得を競います。
王国の騎士達や城下町の商人達の協力を得て、ゴブリンやエルフを雇い、さらには邪悪な死霊術師や、恐るべきドラゴンさえも説得し、ライバル達を出し抜きましょう。
財宝(ドラゴンズ ストーン)を誰よりも早く集め、王位を勝ち取ろう!

■ゲーム概要■
キャラクターカードをドラフト形式で配布して、5枚の手札を作ります。
その後、各プレイヤー1枚ずつカードを使用するバトルを4ターン繰り返します。
この、ドラフト⇒バトル4回 を1ラウンドとします。

各バトルで最も強かったプレイヤーは財宝(ドラゴンズストーン)を獲得して、
誰かが財宝を5つ持った状態でラウンド終了を迎えたら、ゲーム終了です。
集めた財宝の色などで得点を計算して、最も得点が高かったプレイヤーが勝利します!



■キャラクターカード(色別で全種類掲載! ※クリックで詳細が見れます)
DSRV黒
DSRV赤
DSRV青
DSRV緑
DSRV黄

短時間で濃密な「ドラフト」を繰り返し遊べる、本格的な「ドラフトカードバトルゲーム」です。

■ドラゴンズストーンリバイズドの特徴
★初めての人でも遊びやすい「チュートリアル」付き!
DRSV_チュートリアルマーカー

カードの一部には『チュートリアルマーカー』がついています。
これらのカードを抜きだし、マニュアルに従うと1ラウンド目を「チュートリアル」としてプレイでき、
バトルの流れを学習しながらゲームを進めることができます。

★濃密な相互作用と、それを意識したドラフト
DSRVかーどいっぱい
キャラクターカードには「最強のカード」は存在せず、それぞれに必ず弱点となる相手が存在します。
ドラフト中は堅実なカードを選ぶか、強いが明確に弱点を持つカードを選ぶか。
はたまた、強いカードを罠として相手に渡しつつ、その弱点となるカードを確保するか。

カードそれぞれの濃密な相互作用と、それを最大限に感じられるドラフト形式のカードの配布を楽しむことができます。

★リバイズドでの変更点と、追加の拡張要素!
リバイズド版では、旧版から役半数のカード効果が変更/調整されています。
ゲームの楽しさはそのままに、旧版にあった「フラッグ」と「リードプレイヤー」の要素を廃止して再調整。
プレイ時に確認する項目を減らし、さらに手軽に遊べるようになりました。

また、拡張要素「王の勅命」が同封されています!
これは旧版の同名拡張の調整版ですが、
基本セットだけでのゲームに慣れてきたプレイヤー向けの拡張カードで
バトルで勝つだけではなく、ある種の「手役」を作ることで得点を伸ばすことができるようになります。
これにより、ドラフト中に何を取るかがさらに悩ましく、楽しむことができるようになります。

★ほかにも、遊び易さのために手厚く細かい要素がモリモリ…
・カードをスリーブに入れてもおさまるBOXサイズ(のはず)
・慣れた時にゲームを始めやすい「プレイ開始時のセットアップガイド」カード付!
・マニュアルの裏面はそのまま「ルールサマリー」として使用可能
・マニュアルのほかに「全カードリスト」が付属!
・TCGデッキボックスで持ち運びたい人向けに、セットアップガイドの裏面は「ボードの代わりになるデザイン」に!

↓マニュアル裏面のルールサマリー
DRSV_ルールサマリー

アナログゲームデザインについてのノウハウ断片「かもしれない」

※これは 「Board Game Design Advent Calendar 2018」 18日目の記事です。

今回出展した「ドラゴンズストーンリバイズド」など自分が制作したゲームのデザインを振り返りつつ、
雑多にデザインや制作についてメモを起こしてみました。
今回は本当に雑な記事になりますが、7点の「かもしれない集」です。



『アナログゲームデザインについてのノウハウ「かもしれない」』



★作りきれるゲーム案とそれ以外の差?
「ドラゴンズストーン」の発案は「MTGのドラフトを短時間で、繰り返し、MTGを知らない人とも遊びたい」というような気持ちからゲーム制作を始めました。
今振り返ると、この発案内容の中にゲームでどんな体験をさせたくて、どの程度の難易度で、どのくらいのプレイ時間を想定しているか。が全て入っていたのでゲームの根幹は制作開始時からまったくブレずに最後まで進むことができました。

以降に発案したものの現実に形になりきらないゲームがたくさんあるのですが、
それらは初期コンセプトの中からどれかが抜けていることが多いような気もします。
・プレイ時間の目安
・ゲームの難易度、どの程度複雑にするのを許容するか
・ゲームが終わった時にどんな気持ち(感想)を持つのを目指すか
ここらへんが「最後まで作りきれるゲーム」を制作するときのコツ。かもしれない。



★だんだんと出来上がってきたゲームをバラバラにしてみる
これは「ひつじとどろぼう」を制作していた時の話になりますが、
初期のルール制作や調整が順調に進んで、さて次はカードのバランスの調整と検証をしてみよう。
と思った途端、どうすれば良いのかわからなくなりました。

「ひつじとどろぼう」は非常にシンプルなカード(道と川とひつじ、どろぼう等しか書いてない)をドラフトして
場に連結していくゲームなんですが、はたして、このカードをそれぞれをどう「評価」したものか。
カードAとカードBは何点くらい評価が違うのか。それは調整すべき程に差が開いているのか。
こんなカードゲームを遊んだことがない(自分で作ってるのにw)自分には、
まず評価方法を考えるところから始めなければいけませんでした。

そして、ザックリと書くと以下のような加点・減点を考えました。
ゲームの大目的は右下方向に道を繋げる事があるため、右か下に道があるものは加点。
ひつじが書いてあるものは得点源になるため、加点。
どろぼうや他の効果マークについても、それぞれの効果による加点。
川が書いてあるカードは得点にもつながるものの、配置制限が辛いため基本は減点。

この評価方法に準じて各カードを2点~3点程度を目指してバランスを取り、
カードのタイプ(川、羊付き、どろぼう付き、各道がどの方向に向いているか)の全体の比率バランスを取り、
カードを決定していきました。もちろん決定後にテストプレイでそれぞれの値から調整をしています。

このように、自分が思いついたゲームのバランスをどう取れば良いのかわからなくなることもありますが(w
そういう時は仕組み全体を通してメリット、デメリット、どう遊んでほしいかを加味して
いちどそれぞれの機能で分解して再評価すると、未知のものでもバランスがとりやすい。かもしれない。



★ゲーム展開のバランスについてのアイデア
ドラゴンズストーンのドラフト後に全員が1枚ずつカードを出して勝負。
というバトル部分は最初から完成までまったく変化がない部分でした。
毎ターン1名しか勝利しないゲームなので、フラット状態でプレイする1ターン目の行動は、システムが最も剥き出しになる選択肢になります。
1ターン目に出す候補としては「ゴブリン」「民兵」「商人」という3種をデザインしたのだけれど、
これは全力で殴る(ゴブリン)/全力で貯蓄(商人)/その中間(民兵)として設計された。
※最終的には派生として「ゴブリンの伝令」や「貿易商人」などが生まれてくる。

このターンではなく、次や、その次のターンに勝ちたい。という理由は
場の財宝の色の組み合わせや手札の他のカードを使用した方が確実に勝てそう。という気持ちなどが
なんとか担保してくれる形になっている。

シンプルに殴り合うタイプの対戦ゲームの場合「全員の勝ちたい気持ちが多少ブレるように」なっていないと
たまたま強い手札を組めた人が、勝負を分けるタイミングで勝つ。という味気ない感触になる恐れが高い。
作ったゲームを遊んでみて、展開が同じ/一方的/運ゲー過ぎる。という感覚があるときは
中間目標や、個々人で違うスコアの伸ばし方などを多少盛り込むと解決の役立つ。かもしれない。



★システム的に、各種獲得リソースはどう「思ってもらわないと困る」のか
「ドラゴンズストーン」は状況や展開がガンガン変化するゲームではあるものの、そこにもルール付けはあって、
誰かが5つ以上獲得してラウンド終了したらゲーム終了(得点計算)に移る「財宝」は
他のプレイヤーが獲得済みのものを操作することは「基本的には」できない。
(唯一「ドラゴンゾンビ」のみが他人の財宝を奪うことができる。)

これは「財宝」の取得数が増えていってくれないと、ゲームが終わりづらくなる(収束性が悪くなる)という理由と、
プレイヤーは獲得した「財宝」をベースに戦略や勝つタイミングを練るので、
もし獲得済み「財宝」が目まぐるしく変わると、もはや戦略を練ることがバカバカしく感じられてしまうため。
「財宝」はシステムからも大事にされるべきで、大事だからこそ狙って取りに行く価値がある。と思わせられる。

一方で「金貨」は通貨なので、貯めこんで高価な傭兵で勝利を目指すの戦法は許容しつつも、
貯めこむアクションが優位な戦略になってしまうと、みんな貯金することが序盤の最適解という面白味にかけた状況になりかねない。
この問題の解決方法はきっといくつかあるのだけれど、ドラゴンズストーンでは「ダークエルフの義賊」という、
全員の4金以上の所持金を奪って自身の戦力にするカードを制作して、カタンの資源(手札)と類似の解決を目指してみた。
カタンで手札を貯めすぎても7が出てバーストする。のと同じように、
ゲームプレイ中に何度か「義賊」が現れるため、消費した方が得と思える状況をシステム側で用意してみた。

ゲーム制作初期は結構適当にいくつかの資源を獲得するようなデザインで初めて構わないと思うのだけれど、
ゲーム中に獲得するそれぞれのリソースについて、それぞれがどういう役割で、
システム的に、プレイヤーにどう「思ってもらわないと困る」のか。
どこかのタイミングで検算して明確にするとバランスの方向性がまとまりやすい。かもしれない。
※「財宝」や「金貨」の位置づけはドラゴンズストーンではかなり初期から決まっていた。ラッキー。



★どんな状況にしたいのか、誘導する
「ドラゴンズストーン」のバトル4ターン目は最も強いキャラクターカード同士がぶつかり合う、怪獣大戦争的なターンに設計されている。
だが本質的には「盛り上がってる感」や「派手なことをしている感」を演出しているだけで、4ターン目も相変わらず勝者は1名しか生まれない。
それでも「計画して」「大きなアクション(戦力な効果)」を使うことは、それだけで快感があるし、楽しい。

そこに、強力カード達の相性が絡んでくるので「計画して」「大きなアクションをして」「それでも裏切られるかもしれない」という
気持ちの高まりを感じられるように、カードの効果やバランスを調整してみた。
「ドラゴンスレイヤー」という、他プレイヤーのドラゴン系カードを強制退場させるカードは4ターン目にしか出せず、
全てのドラゴン系カードも、4ターン目のみに登場できる。そこに逃げ場は無い(笑)ので、ハラハラ感を作り出せた。

特にTCG寄りなゲームだと顕著かもしれないけれど、近しいコスト帯に強力なカードとそのアンチカードをデザインするだけでも
両者が出会う確率が上がり、ドキドキハラハラを誘発しやすいシステムになる。
逆に、特定のアクションAに対抗するにはアクションB。みたいにシステム設計していても上手く機能しない場合は
ターンやフェーズ、コストなどの調整でそれぞれを近づけると案外上手くいく。かもしれない。



★コンポーネント(同梱物)に素敵な小物を?
「ドラゴンズストーン」では、フラッグという小物を同梱していたのだけれど、
これはプラスチックポーンにシールプリントした旗を貼り付けるという細かい手作業が必要になるので大変だった。
自分はどうも「素敵な小物」が入っているアナログゲームが好きで、自作でもそれをやりたい気持ちが強いみたいで、
「ドラゴンズストーンリバイズド」では、フラッグに代わり「呪われた王冠コマ」を同梱した。
これを見つけたのは超ラッキーで、お値段の割にとても素晴らしい見た目で自分的には満足でした(みなさんはどうですかね?)。

さて、問題はこういった小物をどこで探すのか。
最近だともう自作してしまうゲーム制作者さんが多いようで、本当に頭が下がるんですが自分だとだいたい以下のサイト系を探してまわったりします。

・楽天 アクセサリ ハンドメイド
https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89+%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%BC/?scid=s_kwa_2014comb_00&lsid=663894

・AliExpless アクセサリ⇒チャーム
https://ja.aliexpress.com/category/200000117/charms.html?spm=2114.52010108.2.228.3f7f77619E0oQV

・NETSEA ファッション雑貨 (最初に個人事業主的なユーザー登録が必要ですが怖いことはないです)
https://www.netsea.jp/category/4

ただ、いきなり全量オーダーするのは怖いので、最初に10個くらい注文して試してからフルオーダーする事が多いです。

あとは上記サイト以外でも、検索キーワード次第でいろいろ見つかるはず。
例えば「ドラゴンズストーンリバイズド」の財宝コマのようなものを探すのであれば
「アクリル ストーン」とかで探すと結構いろいろなものが見つかるし、
「業務用」のキーワードを入れると100個以上のセット売りが見つかることも多いので便利。かもしれない。



★最終(のつもりの)テストプレイについて
ゲームを作っていってモック(絵とか適当な、とりあえず遊べるもの)を用意したら、
自分は延々と一人で4人プレイなどを行い続けてゲームを試したり、バランスを調整していく。
それが終わったら気心の知れた他のゲームデザイナーの人達がいるテストプレイ会で遊んでもらって、調整や改良を続けていく。

自分がこれまで作ったゲームの場合は、大体「最終のテストプレイ日」を決めて
その日に集まってもらう人には申し訳ないながら、もう、一日中そのゲームだけを繰り返し繰り返し遊んでもらう。
たぶん6~10回ぐらいはぶっ続けで遊んでもらう。
この「最終のテストプレイ日」に調整箇所があったら即座に直して、変更後版でそのまま続けて遊んでもらう。

この「1日同じゲーム漬け」テストは、もしかしたら昨今のゲームの遊ばれ方と乖離してる気もするのだけれど
ゲームの問題点探しと並行して、ずーっと同じゲームを繰り返し「楽しんでくれる」かをチェックして見てる。
参加してくれたみんなが(少なくとも)嫌そうな、もう疲れた辞めたい的な表情になるようであれば要調整だと思っている。

この、最終1日チェックは制作するゲームの内容にもよるものの、ゲーム発売まで、そして発売後も
ゲームデザイナーにほんのりと「このゲームは楽しめるものを作ったぞ」的な自信も与えてくれるので、オススメ。かもしれない。




以上、タメになる可能性がある「かもしれない」雑記でした。何かのお役に立てば、ラッキー。

Power9Games
坂下裕一




『ドワーフのネックレス工房』

★このページは「ドワーフのネックレス工房」総合ページです。情報は随時更新されます。

お久しぶりです。Power9Gams ナインです。

2017/12/2,3 に開催される「ゲームマーケット2017秋」に 『ドワーフのネックレス工房』 を頒布します。
ドワーフ箱絵
『ドワーフのネックレス工房』
プレイ人数 3-4人  プレイ時間 25分程度
ゲームマーケット頒布価格:2300円

■物語
13人のドワーフ達が働く工房はいつもごったがえしています。 すぐに次の仕事をお願いしなければいけないのに、ねぼすけなドワーフ達はいつもマイペース。 早起きなおかみさんやいつも寝坊している親方に上手に仕事をお願いして素敵なネックレスを作って貰いましょう。

■ゲーム概要
手札のドワーフカード2枚から1枚を使って、宝石や飾り石を獲得し、糸に通して自分のネックレスを作っていきます。誰かが8つ以上(3人の時は6つ以上)の石を糸に通したら、次のラウンドを行ってゲームを終了し、得点計算を行います。 最も価値の高いネックレスを作ったプレイヤーが勝利します。
ドワーフ内容
※写真の箱、ドワーフカードはテスト用の代理カードです。それ以外のコンポーネントは実際のものになります。

■内容物
チャーム(鉄製の飾り、形は全部違います)4つ
宝石(赤、青、黄色の3種)各色10個
飾り石 (透明なビーズ) 25個
巾着袋 1つ 糸 4本 糸止め 4つ
ドワーフカード 13枚 サマリーカード 4枚 竈番札カード 1枚

■同梱イメージ(袋止めのシールなどは異なります)
同梱袋表     同梱袋裏

■カード一覧(複数枚あるものには赤文字で枚数が書いてあります)
ドワーフカード一覧2


■ルール(マニュアル)
ドワーフ説明書表    ドワーフ説明書裏

通販開始しました
ゲームマーケットでの頒布より少し割高になってしまうのですが、遠方の方や、ゲムマには来れない方はご利用下さいませ。

■通販ページ
https://power9games.theshop.jp/


★★★★★ ゲームの遊び方 など ★★★★★

■ゲームプレイでネックレスはどう使うのか?
①初期配置
初期配置m
ゲーム開始時には、各プレイヤーに「糸」と「糸止め」を配り、金属製の「チャーム」は糸に通しておきます。
加えて、最初のストックとして「飾り石」を1つと、ランダムな「宝石」を1つ配ります。
※プレイヤーごとに糸の色が違います

②宝石を糸に通した
糸に石入れたm
カードの「糸に石を通す」効果で、糸に宝石を通した後です。
糸に通す場合は必ず「糸止めの無い側」から石を追加します。
ただ、このままではチャームは端に行ってしまい、左右対称になりません。

③糸止めを動かす
石止め変更m
そういう時には「糸止めを動かす」効果で、反対側に糸止めを動かしてしまいましょう。
これで左端から石を入れられるようになりました。

④ゲーム終了時には?
終了図2人m
誰かが8つの石を通したら、次のラウンドでゲーム終了です。
得点は「チャームから見て左右対称」だったり「並んだ同色宝石が多い」と高くなります。

素敵なネックレスを作りましょう!

⑤プレイ後には?
ブレスレットm
出来たネックレスは、実際に首に書けるには小さいのですが
ブレスレットにすると丁度良いくらいになります。
腕に付けて、ひと時出来上がりを鑑賞してみるのも良いでしょう。


宜しくお願いいたします。

ゲームマーケット2016秋 出展情報

お久しぶりです。Power9Gams ナインです。

2016/12/11 に開催される「ゲームマーケット2016秋」に出展致します。

今回は、ひつじとどろぼうの再販(最終在庫を持っていきます)と
御用達の委託販売を行います。

また、初めての試みとして
新作のテスト版を少部数頒布します。
※なんとか間に合いました。

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(仮題)「龍と政略」
Dtest.jpg

プレイ人数 4人のみ プレイ時間 15分程度(?

テスト版頒布価格 700円
名刺印刷にプリントしたラフなテスト版です。
5色のキューブ各7つを使用します(同梱しています)

ストーリー(案)
ドラゴンの評議会で最大の政治力を発揮するため
支持してくれる議員の奪い合いが始まります。

ゲーム概要
合計13枚だけのカードを使いながら、
旧作(ドラゴンズストーン)のような、プレイの読みあいと
議員の確保を巡るインタラクションを短時間で楽しめます。

■ルール
龍と政略(仮題)マニュアル

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それでは、ゲームマーケット会場でお会いしましょう。

宜しくお願いいたします。
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プロフィール

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Author:u_1
Nine
ボードゲーム制作サークルPower Nine代表。
ここ5年ほどで海外ボードゲームを200個ぐらい購入してしまったボードゲーム好き。
唐突にボードゲーム制作に目覚めた為、いろいろな準備が間に合わない!(笑)現在はゲームマーケット大阪に向けて準備中。

たまにゲーム会を開いていたりします。

公式Twitter:Power_nine

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